エスター・パーバント - ベルリンで生まれ、世界の影響を受けながら育ったデザイナー

自身の名を冠したブランドを立ち上げたエスター・パーバントは、ベルリンで生まれ育ち、モスクワで鍛えられ、パリで技術に磨きをかけたデザイナーです。1970年代から80年代にかけての幼少期と青春時代には、平等主義を強く支持していたオープンマインドな両親の影響から大きな影響を受けました。そして、若い頃からフェミニスト運動やデモに参加して包摂性を支持してきた姿勢は、彼女の個性を育み、その後の人生で追求する前衛的な野心を生み出したのです。テレビのない環境で育ったエスターは、その代わりに大きな衣装箱など多くの役立つツールに囲まれていました。それは、手に入る服の組み合わせに応じてさまざまなキャラクターを創造・探求する想像力を強く刺激することになりました。そんな彼女は12歳の時にすでにファッションデザイナーになるという天職を感じ、それ以来、憧れの目標を達成するためにリスクを恐れることなく取り組んできました。

伝統とトレンドへの飽くなき挑戦

エスター・パーバントは、現代的なファッションデザイナーであるだけでなく、先見の明があるパフォーマーや司会者でもあります。エスターは、自身のファッションを性別を問わない（ポスト）フェミニズムの行為だと説明。その前衛的なスタイルの核には人格、自律性、個性があります。ジェンダーにとらわれないシルエットは、クラシックなメンズウェアのディテールを用いながら解体・再構築される一方で、タイムレスなエレガンスとスタイルを表現しています。また、エスター・パーバントの作品の中心にあるのは学際性。それは、ラムシュタインとそのリードシンガーであるティル・リンデマン、写真家のスヴェン・マルクワルト、作曲家のスヴェン・ヘルビッヒ、映画監督のニコラス・モックリッジ、ゾラン・ビハック、振付師のサシャ・ヴァルツ、指揮者のテオドール・クルレンツィスといった、映画や音楽、演劇プロジェクトでの無数のコラボレーションに見られます。境界に挑戦するとともにそれを乗り越え、クリエイションを通してつながりを育むことは、ファッションデザイナーであるエスターの絶えることない野心であり原動力なのです。

推進するファッションと音楽のつながり

エスター・パーバントのような人物は、経験や出会いを重ねる中で育まれてきた視点と情熱に満ちているだけでなく、それらを導く揺るぎない礎を定義する自身の価値観と理想に深く根差し続けています。エスターの人生にとって欠かせないものの一つは音楽、特に音楽制作への深い愛です。彼女はさまざまな機会にその才能を示してきましたが、音楽は自身のエネルギーを充電するとともに内省し、人生と再びつながることができる彼女の最も愛する安らぎの場所であり続けています。「音楽とファッションは、動き、スタイル、ストーリーテリングという面で深く結び付いている」とエスターは語ります。物語が新しいコンテンツを必要とするように、エスター・パーバントは過去、現在、そして未来からインスピレーションを得て、人生の樹を成長させ続けています。そしてエスター・パーバントの音楽は、たとえサイドプロジェクトであっても、ファンとサポーターの体験を豊かにし続ける価値あるものです。

ファッションの探求家、エスター・パーバント

ファッションにおいて、エスター・パーバントはオートクチュールのようなルックを制作したり、衣装デザインを掘り下げたりと、デジタル時代がもたらす多様な可能性を探求し続けていきます。未来は不確実ですが、少なくともエスターは、常に驚きと刺激をもたらし続けるでしょう。その探求の一環として、彼女は2019年に欧州委員会が主導したEUのデザイナーグループとのコラボレーションによるイノベーションに関する取り組みにも参加しました。